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半巾帯から角帯へ|ミンサーの半巾帯を角帯に仕立て直してもらった話

「そろそろ、普通の角帯に飽きてきたな……」 「人と違う、ちょっと変わった帯が欲しい」

そんな風に思ったことはありませんか? 男性用の角帯は種類が限られているため、どうしても似たようなコーデになりがちです。

そこでおすすめしたいのが、女性用の半幅帯を角帯に仕立て直す方法。 仕立て直せば、誰ともかぶらない一点物の角帯に変身させることができます。

この記事では、私自身が実際に女性用の半幅帯を角帯に仕立ててもらった経験をもとに、その魅力と方法を紹介します。

目次

特別な一本を求めて

着物を着るようになって、帯選びも欠かせない楽しみになりました。

ある日、お世話になっている呉服屋を訪れると、目に留まったのが「ミンサー織」の帯でした。

着物経験が浅い私は正直、それまでその存在を知らなかったのですが、店員さんの説明を聞き、そのストーリーに深く惹きつけられました。

ミンサー織の魅力をさらに深く

沖縄の八重山地方に伝わる伝統的な織物、ミンサー織。その独特な模様には、深い意味が込められています。

特徴的な五つと四つの絣模様。これは「いつ(五つ)の世(四つ)までも」という意味が込められ、女性から男性へ贈られていました。ミン=綿、サー=(狭い)という意味があり、昔は男性用の角帯として用いられてきた歴史があります。近年は需要の変化もあり女性用の帯が大半を占めるようになりました。

そのミンサー織の帯を妻に勧めてもらい、まずは妻用の半幅帯を購入することに。

いつ(五つ)の世(四つ)までも
ミンサーの特徴,五つと四つの絣模様

「ミンサーの角帯はあります?」と聞いてみたら…

ふとその場で「ミンサーの角帯はあります?」と尋ねてみました。

するとお店の方は少し申し訳なさそうに、こう教えてくれたのです。

「実は、ミンサー織の角帯は数が少なくて、流通量も減っているんです。半巾帯は女性の需要もあって色柄も豊富なんですが、男性用はなかなか…。ベーシックなタイプは見かけるのですが、バリエーションがそこまで多くなくて…。」

という事実に少しがっかりしたものですが、こればかりは着物を着る男性自体が圧倒的に少ないから仕方ないですね…

仕立て直しで角帯に

そこで提案されたのが、「半巾帯を角帯に加工する」という方法でした。 ただ、当然ながらそのためには帯の一部をカットしなければならないとのこと。厳密にはカットしなくても折って角帯として使うことは可能ですが、その場合は角帯として仕立ててあるものとは締め感などはやはり異なるみたい。

私は一瞬迷いましたが、決断しました。カットする部分はスタッフと相談して、ミンサーの象徴である「いつのよも」の五つと四つの模様は残すことに。そして草木染による綺麗なオレンジ、この部分までを残して角帯に仕立ててもらうようにお願いしました。

仕立てあがった品は依頼通りの完璧な仕上がり。スタッフは丁寧にオレンジ色までは絶対に残してほしいとしっかり図に書いてまで仕立て依頼してくれていたそうです。

草木染のとても綺麗で、深みのある色合い。藍、福木、苺、クール(紅露)が使われています。草木からこんな綺麗な色に染まるなんて不思議ですね。

半幅帯から仕立てた角帯
切ってしまうのは申し訳なさも感じつつ…
草木染の色
草木染による色

ところでこのミンサー帯,なんと妻の持っているミンサー帯と同じ織り手さんによるものでした。

ミンサーは誰が織ったものか証紙に名前まで書かれています。思いがけない偶然に驚きつつ、より一層の愛着が湧いた瞬間でした。

証紙

お気に入りのミンサーはカジュアルコーデに大活躍

とはいえ私のような方法は仕立て代も時間も別途必要なので、そこまでするのもな…という方は通常のミンサー帯も十分に素敵ですのでおすすめです。

ミンサーは正絹の帯に比べれば購入しやすい価格帯で、ネットでも気軽に購入できるのもうれしいポイント。

帯としてはしっかり締まる割に、生地がやわらかいので締め心地も柔らかく楽です。

かわいい色柄から、クールな帯まであるので気に入ったものがあれば一本あるとカジュアルコーデに大活躍してくれるでしょう。

ミンサー帯の楽しみ方

ミンサー帯はカジュアル着物ととても相性よく合わせられます。色柄にもよりますが明るい色なら夏に浴衣と合わせて涼しげに。

濃いめの色なら秋にも活躍してくれます。

1. カジュアルなシーンで活躍

  • 街歩き・カフェ・旅行・日常の外出にぴったり
  • デニム着物や木綿着物,浴衣とも相性◎

2. 季節感に合わせやすい

  • 春夏:涼しげな色合いを木綿着物、麻着物、浴衣と合わせて
  • 秋冬:落ち着いた色味で季節感も演出できる

3. イベント・旅行で「話題になる」

  • ミンサー織は沖縄の伝統工芸 → 観光地や交流会では「どこの帯ですか?」と話題になりやすい
  • 文化的な意味を語れるので会話のきっかけにも

まとめ

女性ものの半巾帯を男性用の角帯に仕立て直す。一見、変わった方法に思えるかもしれません。しかし、こうすることで、流通量が少ない「ミンサー織の角帯」を手に入れることができました。

気に入った帯が角帯として見つからなくても、諦める必要はありません。帯だけではなく,着物や羽織も女性ものから男性物へ仕立て直しという選択肢があることを知っておくだけで、着物の楽しみ方はグッと広がります。特に男性着物は地味という印象が強いため,もっと派手で華やかな着物を探している方にはおすすめの手法といえます.

仕立て代は別途かかりますが…

この記事が参考になれば嬉しいです。

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